灯台放送受信機の制作
その2

目次

  1. 回路の変更
  2. アンテナ変更
  3. 大型ループアンテナの追加
  4. 今後の課題


回路の変更

 セミディスクリートの回路では安定性に欠け、大型化することから、専用ICを使うことにした。ICは三洋のLA1265を使う。2013年時点で入手難である(LA1600の方が容易に手に入る)。

 このICはAMのRF,MIX,OSC,IF,DET回路が入っていて、FMのIF,DET回路も内蔵する。特にAMの局発回路にはALCが入っており、LC回路に左右されずほぼ一定の局発出力が得られるので、高低域での感度差が最小に抑えられるだろう。また局発のモニター出力がついているのもありがたい(後述の受信周波数表示に役立った)。

 当初、バリコンの代わりにバリキャップを使ったが、周波数安定度が悪く、ポリバリコンに換えた。バリキャップの利点はヘリポットを使って簡単に減速機構を直流的に構築できる点で、取り回しの自由度が高い。しかしPLLと組み合わさなければ実用にならない。

 再現性を重視し、LA1265のリファレンス回路でラジオを組み、要所要所を特化した。

 VFOは4バンド構成とし、0.5〜2.2MHzをカバーするようにした。これはより的確なチューニングと安定度のためである。なお、バンド切り替えのロータリースイッチの金属軸はアースしておかないと不安定になる。回路構成が悪かったのかもしれない。

 受信範囲をのばしたことで、160mバンドのCW受信のためにBFOを追加している。

 正確な周波数表示のために1KHzステップのLEDのディスプレイを付け加えた。これは汎用カウンタで、局発からIFを差し引いて表示できるIC(LC7265)である。LA1265とともにピン間隔が1.778mmなので、変換基盤を使うのがよいだろう。IFは455,450,469KHzをロジックで選択できる。1/8プリスケーラーをつけると10.7MHzを引く、50KHzステップのカウンターになる。

 表示は000-1999(KHz)、00.00-199.95(MHz)となる。

 ラジオにノイズを出さないようにするために、スタティックドライブになっているので、配線が非常に多いのと消費電力が大きくなることが難点である。また、ダイナミックドライブのLEDならいろいろな色を選べるが、バラの7seg.では白や黄色などを選ぶことが難しいという欠点もある。

アンテナの変更

 アンテナはラジオ一号機に使った、20cmフェライトバーを三本束ねたものを使った(二号機)。しかし、引っ越し後の環境の悪さもあり、バーを六本束ねたものに変更した。

 巻き線は0.4φのエナメル線を二本撚って使ったが、受信周波数1.6MHzを超えると、如実に表皮効果によるQ低下がみられたので、四本撚りに変えた。

 局発のALCのおかげで、感度低下はすなわちアンテナの性能であると決めうちできるのが便利である。


 試験的に赤コアのコイル三つと300PFのバリコンでフロントエンドを作り、庭に張ったロングワイヤーアンテナをつないでみたが、感度は好いものの、ノイズと今変調に悩まされたので、この構成だとIFの高いラジオ(ダブルスーパー)が適しているかもしれない。

大型ループアンテナの追加

 太い巻き線と太いコアを使い、巻き線間隔を粗めに巻いたバーアンテナは、そのままGe-DiとクリスタルイヤフォンでNHK第2放送が聞こえるほどの高能率アンテナとなっていたが、まだCRT栃木放送・那須放送局(864KHz)を受信するには十分ではなく、灯台放送もロケーションが思った以上に悪く、十分受信できなかった。

 そこで、DIYショップの木っ端(JUNK)の板を買ってきて、50cmの十字の木枠を作り、大型のループアンテナを追加制作した。

 当初330PFのポリバリコンと組み合わせ、0.4φのエナメル線をベタ巻きにしたが、1.6MHz以上でチューニングしない事実が表面化した。

 これは導線の表皮効果もあるが、線間容量による自己共振周波数が想定以上に低かったことに起因する。

 そこで、機織りの要領で桟を入れ、巻線間隔を稼いだ。

 この処置により、1.9MHzあたりまでチューニングするようになった。なお、バリコンは430PF-12PFのエアバリコンに変更し、直列にコンデンサを入れることによってバンド切り替えをするようにした。

 本来ならもう少し太い銅線を使い、巻き数を減らすことができるのだが、那須放送局が受信できている(シグナルは4/10)ので、現状のままである。



 ループアンテナは開口効率が高いので有効なのはわかっていたが、不完全なシールドでは回り込みにより発振してしまうので利用しなかったが、三号機に至っては完全シールドケースを使っているので安心して利用できている。

 なお当初木枠に二時コイルを巻いて、バーアンテナの代わりに本体に取り付けた、戦前の受信機の趣を楽しんできたが、周波数特性が悪く、現在はQマルチプラヤとしてバーアンテナと併用している。


今後の課題

 市販のIFTはQが低いので、450KHzのセラミックフィルター(CF)を入手すると同時に、カーラジオのJUNKから頂くのがよいだろう。千石で入手できるコイルは黄色コアで80以上となっているが、カーラジオの日本メーカー製の部品は100以上でるらしい。

 LA1265のCFは三本足タイプを二つ使い、カップリングコンデンサを挟むようになっているが、カップリングコンデンサを廃した方が損失がなく、CFを増やした方がいい特性になるだろう。

 なお、今後は7MHzのラジオを制作する予定である。手持ちのLA1265もLA1600もSW帯まで使用できるICである。

 また、FMフロントエンド用ICを使ったダブルスーパー、トリプルスーパーもおもしろいかもしれない。

 世にいうセラタフィルターも試してみたい。
 カップリングコンデンサは損失が大きいため、三本足タイプのCFを直接多段接続したらおもしろいかもしれない。

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